宝船・公演の軌跡 002「あいつは泥棒」

 さて、大トリは、超ビック対談! 清水宏さんといけだしんさんです。
  私や友香ちゃんが芝居を始めていない時代から「山の手事情社」で大活躍し、今やあらゆるフィールドでお見かけする清水宏兄さんと、私たちの敬愛する千葉雅子さん主催「猫のホテル」のゴリラ担当いけだしんさん。素敵な男性二人にときめきながらスタート!
「猫のホテル」制作の那須さんが命名。ちなみにハイレグにおけるゴリラ担当は今奈良孝行くん。身体が大きくて、ケンカが強くて、男気が溢れていて、かつメカに弱いこと)
 第5回 清水宏×いけだしん
第1回 高木珠里×仲坪由紀子 / 第2回 中村たかし×三土幸敏
第3回  安澤千草×水野顕子 /  第4回 日比大介×加藤雅人

 

野村「まずは友香ちゃんとの出会いの話など…どんな印象だった?」
清水「友香ちゃんとはね、割と深い話をしてね…」

清水さんが話している最中に、不思議な顔でボイスレコーダーを見て、いじるいけしん(いけだしんの略。「だ」しか抜いてないけど)。

野村「(困って)あの、いけしん……なにやってんの…」
いけだ「え?いや。どうやって録音してるのかなーって思って。小せえ。スパイとかが使いそうじゃねえ?(携帯電話サイズ。決して小さくない)」
野村「使わないよ。そんなに小さくないだろ、それ。どんなまぬけなスパイだよ」
清水「…しゃべっていいの?」
野村「すみません、どうぞ」
清水「(考えて)友香ちゃんはね、すごい女性っぽいなって。俺はホントに…普通だったら俺の苦手なタイプ
野村「え?女性っぽいの、清水さん苦手?」
清水「すごく女性…女優さんとかってアンタッチャブルな部分が多いじゃない。言っちゃいけないことを言っちゃったとか嫌われちゃったかな、とか。友香ちゃんはそういうタイプではないけど、すごく女性だなーって。女性的なモノに対してすごく警戒心が強くて、逆にそれが得意にならなきゃいけないっていうのも思ってて。だから、面白い。俺にとって。ホントに。少女マンガと少年マンガぐらい違うからね。友香ちゃんが苦手って訳ではないんだけど、友香ちゃんが言うことで『えー?』って思ったことは、そこに宝物があると思う。今ね、ちょっとでも理解したいと思って少女マンガ読んでんの
いけだ「その読んだマンガの影響力ってある?」
清水「まだない。読み始めたばっかりだから。でもあそこには友香ちゃんの世界がある。恋愛を見つめる視点の鋭さとユーモアと…」
野村「凄まじさですよ」
清水「その辺りが宝船の真骨頂というか…。男と女の人の話なんじゃねーの、結局。色んな恋愛があって…みたいな」
野村「まさにそこですよ。どのシーンでも男女がゴタゴタしてるからね
清水「そこが面白いね」
いけだ「俺も友香ちゃんのことは女の人らしいなーって思うことがあって」

後ろで飲んでいる仲坪さん他出演者の「ギャハハハ」という馬鹿笑いで聞こえない。

野村
「(怒って)仲坪!ちょっと声押さえて」
いけだ「(ニヤニヤして。清水さんに)それも載せるといいよ。インタビューの最中に仲坪さんが怒られるとかって」
野村なんでその提案を清水さんにするの?私にしなきゃダメじゃん」
いけだ「いや、男の共感を得ようと思って。気が小さいから。男なんて所詮そんなもんだから
野村「宝船の発端に関係してるんだよね?」
いけだ「2年くらい前に、企画もので座長祭りっていうのがあって『動物電気』や『拙者ムニエル』とか『はえぎわ』っていう所の座長さんが出るっていう大衆演劇のパロディみたいなところから始まって、第2回目に友香さんが出ることになった時、架空の劇団を立ち上げようことになって、俺と岩本と友香さんの3人で劇団宝船をやってますってことで。そこからが始まりね。そん時は、友香ちゃんもおそらくやる気はそんなになかっただろうけど、実際旗揚げしてね、今回2回目を迎えるっていうね」
清水「まあ弾みだよ」
野村「だって、本気で劇団立ち上げようって思って宝船って出ないもん
いけだ「それが今になってはすごいいいネーミングになったっていうか。縁起もいいし」
野村「小洒落ていない所がいいね。相当に骨太な劇団名だからね。初めて会った時の友香ちゃんの印象を覚えてる?」
いけだ「そうだね、女の人っぽいと思ったよ、やっぱり」
清水「友香ちゃんと最初に話をした時ね、俺自体はちゃんと偏見のある人間なんだけど(笑)、最初だから緊張して決めつけないようにして話したのね。そしたら褒められたのよ、『女性に対して失礼じゃない人ですね』って。まあそれは実は間違いなんだけどね(ニヤリ)
野村「偏見がありますからね(笑)。それはさておき、友香ちゃんにはそういうことがすっごい大事で、例えば、会った瞬間から『こんな女だよな』とか決めつけたり、『友香』とか呼んだりする馴れ馴れしい人が大ッキライです」
いけだ「友香さんはね、照れてる時がホントにね…魅力的だよね(低い声で)
野村「ひゃーッ(悲鳴)。照れてるって?」
清水「たまに照れる時があんのよ。わかりやすく言えば、ジュンッと来てるのかな、みたいなね」
野村「…ジュン?なんじゃ、そりゃ」
いけだ「稽古場での話で…、まあ下ネタだけど、ジュンって来てるのが見えるみたいな…」
野村「あんた馬鹿ですか?」
清水「稽古見てるとね、男から女がひどいことを言われるシーンでね、自分で書いたセリフにも関わらず毎回ショック受けて『ひーッ』って言ってるんだよね」
野村「気付かなかった」
いけだ「それは素敵なことなんだけど、ショックを受けたり、感動したりしている時に演出家の役目を忘れているかもって思う」
野村「あははは。それはある」
いけだ「いっぱい気になることがあるはずなんだけど、最終的に終わりよければ全てヨシみたいになるからね」
野村「まあ一番いいお客さんになってくれるからね。客席が全員友香ちゃんならどんなにいいことか。でもね、演出家がね、前で見てて、ものすごくつまらなそうな顔をしていると凹むじゃないですか。その点、友香ちゃんは誰も笑っていない所で一人で笑っていたりする。嬉しいよね。たまに不安になるけど。(再び仲坪がうるさくなる)アイツうるせえ。あんまり体調良くなさそうなのに。(舌打ち)どうしようもねえよ。(前の男性二人が引いているのを見て、フォローのつもりで)ま、仲が良いからこういうことが言えるんだけど」
清水「信頼関係があるからね、三人には」
野村「え? 私と仲坪と友香ちゃんですか? それは…絶対そうですね。でも清水さんにもありませんか? 元・山の手の仲間とか…。柳岡さんとか(「山の手事情社」で大活躍の後、退団。学生の頃「この人天才!」と若き野村のハートを鷲掴みした)
清水「ありますね。どうにもならん程の愛情があります」
野村「良く分かります。でも私からしてみるとすごいな、マネできないなって思う所があります。劇団を飛び出して、ワンマンライブとかをやっている訳で」
いけだ(低い声で)一匹オオカミですよ」
清水「野良犬ですよ」
いけだ「そりゃあねえ。飼っている犬を一匹オオカミって言わないしね」
野村「一人でやれ、と言われてもなかなか出来ませんよ」
いけだ「俺はやりたい」
清水「それはやりたいかやりたくないかだけで。誰でもできる。時間があればできることだし。やる場所がなかったからだけで」

再び外野の声が大きくなる。音声判別不可能に。
後は全員入り交じり、いつも通りの馬鹿飲み会へ。
 本当はもっとお話して頂いたのですが、残念ながらここまで。気がつけば公演終了。早いモノです。見逃した方、今年は宝船、10月に公演があります。半年待て!
第1回 高木珠里×仲坪由紀子 / 第2回 中村たかし×三土幸敏
第3回  安澤千草×水野顕子 /  第4回 日比大介×加藤雅人